第14回公演「海岸線にみる光」を無事に終えることができました。

いけ好かない成金野郎、氷藤聡役を演じました秋江です。

 

皆様から「こんな奴いる」「むかつく」「うざい」という、お褒めの言葉をいただきありがたい限りです。

本当にあの役者はあんなに性格悪いのといわれると聞かれましたが、まぁそこまでは悪くはないです。

しかし、意識的に庸の心情を追い詰めようと思って、彼の感情を逆なでするようなことを考えているのは楽しかったです。そういった意味では性格は悪いのかもしれません。

聡を見つめなおして

当初より、起業家、経営者、ビジネスマンというのは、

自分のマインドにはないものだったので苦労しました。結構いろんな本読んだり、人を観察しましたね。

金と女を求め、見栄っ張りで、自己中な聡。ザ・悪役みたいな役でした。人間らしいといえば人間らしいですね。

たまたまスタニスラフスキーに関する著作を読んでいるときに、「悪役の中に良い点を見付けなさい」を言う内容の文言を見つけました。

聡の良い点を挙げれば、「生命力が強く、正直である」こと。こうして考えれたときに、頭の中がすっきりしました。

聡には聡の理屈があり、彼には彼の正義があるのでしょう。

演じること

聡には言葉の重さより、軽さを求められる演技。熱よりドライな感じ。これは結構面白かったですね。

そのなかでも、最後のシーンでの「皆様ご迷惑をおかけしました。」は聡のセリフの中でも一番重いものだったので、そこまでの感情や考えの変化を、文字化したり、身体化したり、丁寧に考えました。

余談ですが、聡には会社を一度つぶしている経験があり、それを吐露するセリフがあります。当初はそのセリフはスムーズにできていたのですが、母が見に来ると決まった時ぐらいから、私の父に会社が倒産した経験があることに気が付き、そのセリフの時だけ、当時の父の姿がフラッシュバックで思い出されました。実際に舞台上で涙が出そうになる時もあり、役柄的に泣いたらお客さんにとって意味が分からないので、できるだけサラッとする感じで行いました。

芝居について

この芝居はとても素敵な作品です。未完な感じ、勢いのある感じ、青春ぽい説教臭い感じ、唐突な感じ、シンプルな感じ。いい意味でも、わるい意味でもなく、他の作品とは一線を画する作品だったと思います

なにより、「自分と向き合わないといけない」と真摯に言うメッセージは素敵です。現代の人たちにシンプルにエネルギーを与えられる作品だったと思います。これって芸術としての演劇ですよね。

ありがとうございました。

私自身今回の芝居で今後のやるべきことが改めて再確認できました。

そして、自分が大切にしたいものも分かってきた気がしました。

皆様には今後ともご協力、ご自愛賜ると思いますが、何卒よろしくお願いいたします。

そして何より、共演者の皆様、関係者の皆様、ご来場くださいました皆様、誠にありがとうございました。

秋江智文